耐熱合金に要求される性能とは?
ひとくちに「耐熱合金」といってもさまざまな切り口で評価すべきであることはお分かりいただけるかと思います。では、どのような性能に注目すべきなのでしょうか?
高温耐食性
「なんだ、結局耐食性か」と思われる方がいるかもしれませんが、多くの雰囲気では温度上昇に伴って腐食性が高まるため、まずはこれに対する抵抗性を持たなければならないのです。その腐食因子としては、空気中の酸素はもちろんのこと、加熱用燃料中の不純物、なかでもS(硫黄)、V(バナジウム)などが挙げられます。また、海上であれば塩分などとの反応も要注意です。
高温強度
強度、と聞くと引張試験を行って得られる比較的短時間で計測される強さを考えがちですが、それだけではなく「クリープ強度(強さ)」と呼ばれる長時間における強度に加え、高温における疲労に対する強度、熱衝撃に対する特性なども求められるのです。
加工性
以上のような特性を高めようとそれぞれに有効な合金元素を添加していくと加工性を損ねてしまう場合があります。例えば、鋳造性、冷間・熱間鍛圧性(塑性加工性)、切削性、溶接性などがこれにあたりますが、その合金材料の用途や形状に見合うようなんらかの改善を施す必要があります。
高温での安定性
多くの場合、耐熱材料は耐食材料と同様、なるべく長時間使用できることができるよう、時間を経ても急激な延性や強度の低下がないことが求められます。
このような特性の要求レベルは業界や用途によって大きく異なるため、似通ったプラントで有効だった合金でも性能不十分となってしまう場合があります。また、耐食合金とは異なり、オートクレーブなどを用いた加速試験を行って判断することはほぼ困難で検討には時間を要します。
このため、まずは先例をよく調べ、ユーザーとよく打ち合わせた上で選定方針を決定しましょう。