PTの探傷面とは?

対象となる探傷面

 溶接部表層部の非破壊検査ではPTならびにMT、ET(EC)について挙げました。ここで探傷面について着目してみましょう。
 PTは、浸透液が毛細管現象により「表面」から染み込む原理を利用しています。一方、MTは磁力線、ETは渦電流の流れを利用するため、「表面」からやや内部に寄った内在物も検知することができます。このため、表面を含めた「表層部」が探傷するることができるのです。
 ただし、MTは鋼などの磁性材料に限定され、ETは大掛かりな機材が必要であることに加え被験体形状が管など一定した形状であることが求められます。またETはUT同様、精密な加工を施した標準試験片をあらかじめ準備しておく必要があります。

探傷面の状態に求められるものと心構え

 PTの浸透液をきちんと染み込ませるためにも、探傷面の状態がどのようになっているのかはたいへん大きなテーマとなります。汚れや酸化膜、コーティング類の付着はもちろんのこと、極端な外表面の凹凸や狭隘部あるいは些細なすりきずの存在も、誤った探傷を誘発する原因となる場合があります。特に鋳放しの鋳造品やビードカットしていない溶接面ではこのようなことが起きやすいため、適切な前処理を行いましょう。

 また、PTを行うときは、製品に問題が起き、欠陥の有無をいち早く確認したいと気が急いて、ついつい前準備を怠ってしまいかねません。そういう時こそ一呼吸おき、機材の準備や前処理に時間をかけ、せっかくの探傷作業に齟齬が起きないよう特に注意しましょう。

雑巾掛け

浸透探傷試験(PT)について考える

PTの準備をする