ニッケル合金製製品の設計で押さえておくべきポイント

 ニッケル合金を使った製品においては、その材料の特性をよく理解し製作方案を決定することが必要になります。代表的なものとしては、下記の3点が挙げられます。

必要な箇所だけに使用する

 たとえばタンクであれば、通常はオールステンレスなど、一つの材質だけで設計・製作するケースが多くあります。しかし、特殊鋼の場合は全てに使用するとコストが非常に高くなってしまうので、例えば接液部のみ必要な耐食性を持つ材質を採用し、その他は安価な別の素材を使用する、といった方法をとることがあります。

必要箇所のみハステロイで製造してコストダウンを行う
接液部のみチタンやハステロイなどの耐食材でライニングしコストダウンを行う

材料をムダにしない

 ニッケル合金は普通鋼に比較すると快削性に劣り材料単価も非常に高いため、ソリッド素材から所定の形状に削り出す方法は極力避けるのが得策です。形状によっては型鍛造をしてから必要最低限の切削を行うとの方案も考えられます。一方、板切断品などでは、効率的なネスティングを行うことによって、歩留りを可能な限り上げる、といった方法も採用されています。

レーザー加工による歩留り向上
ソリッドフランジのコストダウン

状況によっては規格に準拠した製造法を採用してみる

 残念ながらニッケル合金の小径管やアングルやチャンネルなどの形鋼はあまり流通していません。このため、ロットサイズがまとまらないと購入できず、仮に発注が可能でも価格や納期で断念する場合も多くあります。そんな時は、必要な形状を明確にした上で、板曲げや溶接を用いて製作することが有効です。

ハステロイのパイプ・アングルなどは板材から製作する

 これらがニッケル合金を用いた機器設計のポイントですが、やはり情報量や取扱量が少ない耐食鋼・耐熱鋼の設計・製作は、技術や経験を持った専門家に相談することが一番です。
 溶接入熱管理など溶接管理技術に精通し、溶接設計上の細かいポイントや流通性や製品規格を考慮した効率的な材料調達の提案も可能な、本サイトを運営する都ステンレス工業に是非ともお問い合わせください。

 

ニッケル合金の溶接開先のカンドコロ