ニッケル及びニッケル合金に用いる溶接材料

 事前の腐食試験や文献による調査を重ね最適と思われる合金にたどりついても、対象物が溶接構造物、特に圧力容器や配管であるならば、その溶接設計を十分検討することに加え、使用する溶接材料についても慎重に選定しなくてはなりません。

 さて、主な耐食・耐熱用ニッケル及びニッケル合金には、それぞれ最適な溶接材料が準備されています。これらは、溶接材料専門メーカーが作るものと合金メーカーが作るものに大別されます。前者には溶接性を高め安定した溶接部品質を得るノウハウがあり製造ラインも整備されているので、通常はこちらから調達します。合金によっては後者の合金メーカーへOEM供給される場合もあるほどです。

 一方、合金種別は微量元素の調整などで多岐にわたります。このため、一つの溶接材料で複数の合金母材に対応する場合がほとんどです。ただし、用途によっては同じ母材であっても異なる溶接材料が推奨される場合もあり注意が必要です。経験のない合金を溶接することになったら迷わず合金メーカーや溶接材料メーカーに相談しましょう。

 下記に、各メーカーが製造している溶接材料と適用する母材の例を示しますので参照してください。(耐食性などの観点で被覆アーク棒を用いる例は少ないため、ここでは割愛しております)

ニッケル及びニッケル合金用溶接材料