溶接部非破壊検査の実施手順

非破壊検査にはお作法がある

 ここまで非破壊試験の方法についてご説明してきましたが、これを用いて検査(非破壊検査)するのであれば、合否の判定方法とそれに付帯する事項などについて、あらかじめ顧客などと取り決めておく必要があります。
 実作業において、「ここにきずがあるな」「無欠陥だからOK」「これは合格のはず」などと会話することは多いと思います。しかし、非破壊検査の規格ではこうした用語はきちんと使い分けられており、それが検査の実施手順において重要であることは知っておきたいものです。

JIS規格に準拠した検査の流れとは

 JIS規格で規定された非破壊検査の実施手順について下記のフローチャートで示します。

 (図の右矢印をクリックすると次に進みます)

 上記の通り、溶接部の「まったくの健全ではない部分」は手順の階層ごとに「指示」「きず」「欠陥」と呼ばれ、いわゆる「補修」「手直し」を行わなければならないものは、「きずの合否判定」の結果不合格となったものだけ、ということになります。

記録の残し方は

 顧客の仕様によっては、たとえ合格の範囲内であってもきずの存在を記録したり、補修前後の記録を両方とも残すことを要求される場合があります。作業の開始前にきちんとこうした仕様を咀嚼の上、製造工程にも反映させておきたいものです。

外観検査におけるトラブルとは

 一方、外観検査においては「見栄え」といういささか厄介な基準も加わります。特に複数機器や据付後他社製品と隣接する機器あるいはバフ研磨仕様の機器については「めあわせ」の違いによるトラブルが発生しがちです。
 事前に現場を見学させてもらったり作業中の機器を顧客に見てもらうなど、適切な機会を設ける気遣いも、後のトラブルを避ける対策になります。

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