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ニッケル合金のクラッド鋼板について
ニッケル合金のクラッド鋼板とは
ニッケル合金はステンレス鋼よりもかなり高価です。
ほとんどのニッケル合金は炭素鋼やステンレス鋼よりも高強度なので、薄肉とし重量を減らすことができますが、多くの場合双方の単価差を埋め合わせられるほどではありません。特に、高圧や大口径の圧力容器では著しく厚肉となり相当な材料費の負担となってしまいます。
そんな時、炭素鋼の構造体(母材)の接液面となる側にニッケル合金を張り合わせる方案(クラッド)を選択する場合があります。張り合わせる材料(クラッド材または合わせ材)は経年の腐食減量(腐れしろ)を見込んだ厚さのみとすれば良いので、構造体として丸ごとニッケル合金を用いる方案(ソリッド)に比べニッケル合金の使用量を大幅に減らせコストメリットを出すことができます。クラッドには大きく分けてロール(圧延)クラッド・爆着クラッド(BA)・肉盛クラッドがあります。
ロールクラッドとは
ロールクラッドは、母材とクラッド材をサンドイッチにし圧延機で圧着して製造しますが、向かい合う2枚を重ねて圧延するため必ず1ロット偶数枚となり、材料取りに注意が必要です。
爆着クラッドとは
爆着クラッドは、母材の上に重ねたクラッド材の上にダイナマイトを乗せ、その爆発力で圧着するもので、小ロットにも対応しますが上限寸法の確認が必要です。
溶着(肉盛)クラッドとは
溶着クラッドは、比較的小サイズでも対応が可能ですが、大入熱量を伴う上母材成分のコンタミネーション(希釈)がありますから、熱変形に加え耐食性の劣化に対しても配慮が必要です。
ここに注意!
いずれのクラッド加工も、数少ない専門メーカーに製造を依頼することになりますので早めに工程を抑えることに加え、合わせ材となるニッケル合金の工程もフォローする必要があります。クラッド材を同じ機器で必要となるソリッド部品用材料と同時に手配する場合、クラッド材のメーカーへの支給時期を優先して入手しないと、そもそもメイン部材となるクラッド鋼の納入がクリティカル・パスとなるため、十分な工程管理が必要となります。
なお、クラッド鋼の製缶加工における実際については、クラッド鋼製缶のカンドコロを参照ください。