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ハステロイの切断加工
板の定寸切断
ハステロイの板を購入する場合、炭素鋼やステンレス鋼と比較してメーカーの製造可能寸法が小さめであり、どのような寸法で手配できるのかは慎重に検討しなければなりません。また、効率的に共取りし材料費を節約することも必要でしょう。
このため、設計された寸法で板を切断する方法にどのようなものがあるか予め知っておき、その加工代などを適切に見込んで歩留良く購入することがとても重要になってきます。
①シャーリング
大板(定尺板)からのトリミング(切り出し)は、ほとんどの場合シャーリング(剪断機)を用いて行います。ハステロイは剪断強度も非常に高いため、厚板の切断を行う場合は専門業者に依頼するかメーカーや問屋に対しスケッチサイズで注文するのが無難です。
また、トリミング可能な最小幅は通常板厚で決まりますが剪断機の能力にもよりますので事前に切断業者へ確認しておきましょう。
一方、シャーリング切断によってできる剪断面には必ずダレを生じます。剪断した板をそのまま造管すると、開先ルート部にこのダレ部が配されてしまい、裏波溶接を行った際そのルート部でのアンダカットとなる場合があるので、開先合わせ時には注意しましょう。
また、剪断面は加工硬化による脆化した組織が残存しており、そのまま溶接すると割れを誘発する恐れがありますので、I開先であっても機械加工やグラインダ加工などで仕上げることが必要です。
②プラズマ切断
シャーリングの可能最小幅を下回るトリミングにはプラズマ切断を用いるのが一般的です。なお、ハステロイはステンレス鋼同様高温でも酸化しづらいため、酸素アセチレン切断などのガス切断は困難です。
切断面は熱影響を受け硬化したり金属組織が劣化していますので、3mm程度グラインダなどで研削し除去します。多くの場合切断面は溶接開先部でもありますから、開先加工の妨げとなったり溶接品質が劣化するこの熱影響部を丁寧に仕上げることは大変重要です。
③レーザー切断
板の大きさや厚さが一定の範囲内であれば専門業者によるレーザー切断が高品質かつ高効率です。特に切断条件の設定が適切であれば理想的な非酸化切断が可能となり、熱影響部や歪みの少ない切断面を得ることが期待できます。ただし、厚肉の切断面をそのまま開先面とする場合は追加で滑らかに仕上げることが必要な場合があります。
④ウォータージェット切断
板厚にもよりますが噴出水だけで切断するのはほぼ困難で、適切な研磨剤を用いたアブレイジブ切断とすれば可能です。用途に合わせ、切断能力について事前によく調査の上切断業者に依頼しましょう。
棒・管の長さ決め
次に、円形もしくは円環断面の切断です。板の切断とは異なり、切断の進捗につれ切削抵抗が大きくなっていくことから、形状やサイズに適した切断方法を把握しておきましょう。
ハステロイはこうした切断においても熟練を要しますから、慎重に加工条件を見極めるもしくは適切な業者に依頼するようにしましょう。
①高速切断機
もっとも一般的な方法で、回転砥石を高速回転して切断するものです。大径管を回し切りする際にはクランプ代を十分に取ることに加え、回した際に切り口がずれないよう注意してセットします。また、無理な荷重をかけて砥石を破損させぬよう慎重に圧下します。
②丸鋸盤・弓鋸盤
特に切削抵抗の大きい丸棒の場合に有効ですが、歯の損耗を極力減らすため十分に潤滑させゆっくりと加工します。
③(旋盤による)突っ切り
通常より回転数も送りも抑え切削油も十分に供給して、慎重に加工します。
④パイプカッター
適切な機種を選定すれば可能ですが、特に自走式のベベルカッターを用いて周開先まで同時加工する場合は、使用するカッターが高価なこと、機器本体に通常より大きな反力が加わることを考慮に入れ、慎重に切削条件やクランプ力を設定しましょう。
板・円筒の穴あけ
「板の定寸切断」で示した加工法の中からもっとも適したものを選択します。CADAMを組み合わせた加工も一般的ですが、ハステロイは高価な材料ですので、加工前にワークの基準位置を正確に設定し、図面ともよく突き合わせの上、誤作業がないよう慎重に加工しましょう。
また、加工方法によっては、加工開始時のピアシング(切断の起点となる最初の穴あけ)が問題なくできるか事前に確認しておくことも大切です。
パンチング加工
他の一般材と同様に可能ですが、ハステロイの加工実績がある多孔板やトレイ加工の専門業者に依頼するのが無難です。
不定形のトリミング
本稿の「板の定寸切断」で示した加工法の中からもっとも適したものを選択しますが、レーザー切断であればハステロイ板のさまざまな形状の加工を問題なく行うことができます。ただし、経験値の差による巧拙がありますので、やはりハステロイの加工に実績があるメーカーを選定しましょう。
ハステロイの切断加工については、下記も参考としてください。
直線をシャーリングで、曲線・中抜きはレーザーで切断する
シャーリングからレーザーへの転換でせん断面の品質向上
炉芯管母材はレーザーで切断して平行度を確保する
レーザー加工で角フランジを作る際には四隅にRをつける
レーザー加工による歩留り向上
レーザーでボルト穴加工をする際には公差指定をする
板材への多数の穴あけ中心部から外周部に向かって行う
上記に示したハステロイの切断加工の中でも、経済性や製品品質で特に優れるレーザー切断については本サイトを運営する都ステンレス工業にぜひともご相談下さい。豊富な経験に基づく確実な施工をお約束します。
また、レーザー以外の加工についても幅広く対応させていただきますのでお気軽にお問合せください。
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