第 十二話 ショーヘイ・オータニーィ!

 パリオリンビックでの日本人選手の活躍、凄かったですね。決勝に進む競技が目白押しで寝不足になった方も多いのではないでしょうか。

 さて、テレビを見ていて気になったのは日本人選手名の呼び方です。会場でのコールの多くは従来通り「名ー姓」の順ながら、柔道など一部の競技では「姓ー名」となっていました。一方、画面表示では全てが「姓ー名」で姓は全て大文字表記。そこでちょっと調べてみると、2020年に表記の仕方が公式に定められていたことがわかりました。別の記事によると、これはそもそも東京オリンピック開催を見据えてのことだったそう。長年これを主張してきた方々にとっては、さながら「一本」とった気分だったことでしょう。
 英文表記の時だけわざわざひっくり返すのは日本だけ、と言われてしまうと確かに奇妙な感じはします。日常会話やアナウンスなどでは当面「名ー姓」のままのように思えますが、著名人もさることながら、われわれも含め自著や自己紹介などで率先すれば、やがては大谷翔平選手の登録名も変更され『Otani Shohei!』とコールされる日が意外と早く来るのかも知れません。

 ところで、人名を「姓ー名」の順とするのは日韓と中華系の流れを汲む民族くらいのようですが、他方東南アジアや中東にはそもそも姓(苗字)を持たない国や民族が多数存在します。延々と単語が並ぶ方、反対に一つの単語のみの方と様々です。このような方々と名刺交換などする時には、「どのようにお呼びしましょうか」と尋ねるのがマナーなのですが、中には「このニックネームで呼んでください」といわれてちょっとびっくりする時もあります。

 さて、会社名の場合は「株式会社」など法人形態の語順に迷うことは多いかと思います。相手に失礼とならないよう、きちんと「前株」「後株」を確認することはビジネスマナーの基本であるといえるでしょう。そこで、これも調べてみるとなかなか奥が深いようです。
 現在は実は相対的に前株が多いらしいのですが、これは最近のアルファベットやカタカナの社名に馴染みやすいのが一因なのだそうです。また最初に会社形態を示し安心感を与える、という効果もあるのかも知れません。一方後株は、会社名を目立たせブランディングに寄与させるのに向いているそうですが、確かに老舗など堅実で安定感のある会社に合っている感じもします。
 なお、『中株』も登記上は可能だそうですが、さすがにお目にかかったことはありません。
社名は後株と前株以外に中株も可能です。

 前株を若い会社、後株を古臭い会社、と仕分けてしまうのはもちろん早計であるとして、まずは名付けた方の企みに想いを馳せ、正しく表記することを心がけたいものです。

苗字かさなるその前に
君の名前を呼んでみる
恥じらい曝すその前に
鏡見つめてリハーサル

2024年8月13日

モヤモヤ・ルール