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浸透探傷試験(PT)について考える
母材、溶接部を問わず表面に存在する欠陥を探傷できる浸透探傷試験(Penetrant testing)は、目視試験に次いで最もポピュラーな非破壊試験であると言えるでしょう。しかし、一見簡単そうなものほど奥が深いのが世の常。ここからは、知っておくべき「キモ」についてお話ししたいと思います。
二つの浸透探傷試験
浸透探傷試験には大きく分けて二つの種類があります。着色した浸透液を用いる「染色浸透探傷試験」と蛍光液を用いる「蛍光浸透探傷試験」です。
このうち染色浸透探傷試験は、試験設備や特別な機材を必要としないこともあり比較的広範囲の用途で用いられています。一方の蛍光浸透探傷試験は、暗室、洗浄槽、ブラックライトなどを必要とするため設備投資が嵩むことに加え、試験エリアが限定されてしまうこともあって塔槽類など大型品には向きません。また、常態的に凹凸を有する溶接部に対しては過度な指示となる恐れがありあまり適しているとは言えません。しかし、航空機部品や自動車部品など微細な欠陥も許されない検査では、その特徴を活かし多用されているようです。
このため、主に溶接部の試験を取り上げている本稿では染色浸透探傷試験について述べていきたいと思います。
どう呼べばよいのか
さて、日常会話で「染色浸透探傷試験」と呼ぶのはいささか現実的ではありません。このため、Penetrant testingの略称であるPTを用いるか、その現場で最も頻繁に用いられる溶剤の商標名で呼ばれることが多いようです。
カラーチェック:株式会社タセト
レッドマーク:栄進化学株式会社
レッドチェック:太陽物産株式会社
これらを考慮し、本稿では今後「PT」と呼ぶことにします。