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PT作業べからず集
先述しましたが、PTほど一見シンプルで実は奥が深い試験方法はない、と言えるでしょう。きちんとした知識を持ち、資格を持つ者が定められた通りに行わないと正しい判定はできません。ここではやってはいけない、もしくは推奨できない行為をいくつか挙げてみたいと思います。
暗い場所で行うべからず
PTは、浸透→洗浄→現像の各工程で十分な照度を確保しましょう。PTは、各工程で誤判定を招く要因を取り込みやすく、検査場が暗いとこれを見逃す恐れが高いです。建屋内の照明が十分でなければ投光器などを使用しましょう。
室温の測定を忘れるべからず
PTには試験温度(試験時の室温)の規定があり、作業前に必ず測定し記録に残す必要があります。また、顧客仕様によっては測温時の写真を撮ることが求められる場合もあります。なお、温度範囲が外れる場合にも規格の定めがありますのでこれに従いましょう。
汚い水を使うべからず
前洗浄や水洗性浸透液を洗い流す時に用いる水は、ストレーナなどで濾した清浄なものを用いましょう。水の中に不純物が含まれていると誤判定を招きます。なお、使用する水のハロゲン含有量などの分析値が顧客への報告対象となる場合もあります。
塗り不足も塗り過ぎもするべからず
ハケなどで浸透液を塗る場合、狭隘部で塗り残してしまったり、逆に塗り過ぎて至る所にタレ洗浄に苦労したりして疑似指示の原因となることがあります。また、ハケの毛は抜けることがあるのでこの除去にも気を配りましょう。
過度なスプレー噴射をするべからず
溶剤除去性浸透液を用いる場合、狭隘部に入り込んだ浸透液を無理やり排出させようとして洗浄液スプレーを至近距離から強烈に噴射する場合があります。これは過洗浄や浸透液の周囲への飛び散りを起こす恐れがあるので、適切な距離から行いましょう。
過度な水洗もするべからず
水洗性浸透液を用い水で洗浄する場合は、水洗用ノズルからの吐出圧に注意しましょう。この吐出圧が高過ぎると過洗浄や浸透液の飛び散りの恐れがあるので、必要に応じ、PTに使用するのに適した水圧をあらかじめ定めておきましょう。
定められた時間に背くべからず
現像時の指示模様は肉眼で確認できるため、早く見切りをつけてしまいがち。また逆に放置しすぎると指示がぼやけ、周縁の洗浄残りと見分けがつかなくなります。規定の現像時間を守り、正確な探傷を心がけましょう。
急ぐとも息を吹きかけるべからず
現像液を乾燥させる際、焦って息を吹きかけると唾などが飛んで正確な探傷ができない場合があります。溶媒の気化を早くしたい場合は、広げた紙などで仰いで風を送る程度にとどめておきましょう。
検査後に浸透液や現像液を残すべからず
特に裏はつり後に行うPTの残存液は取りづらいことが多いものです。こうした残存物は肉盛り後内部欠陥の原因となる恐れが高いため、洗浄液スプレーを用いたり綿棒を用いたりなどして完全に除去しましょう。
現像状態のまま欠陥部の補修を行うべからず
現像後欠陥判定を行なったら、欠陥部にマーキング後ブラシやウェスを用いて探傷面を清浄にし、完全に乾燥してから補修溶接を行いましょう。このマーキングを油性ペンで行うと焼けて除去しづらくなるので、鉛筆や蝋石を利用しましょう。
勝手な廃水処理はするべからず
PTでは大量の浸透液が使用されます。洗浄時になるべくウェスなどで拭き取ってから水洗し、最小限の廃水量となるよう心がけましょう。また、探傷剤メーカーのSDSなどを参照し、適切な廃水処理を心がけるようにしましょう。
資格を有していない溶接士が、自ら仮判定の目的でPTを行うこともしばしばあるかと思います。社内外の有資格者による必要な教育・訓練を施すなどして、適切なPT作業の実施とリワークの防止を図りましょう。