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ハステロイにもいろいろある〜Cシリーズ
Bシリーズの泣きどころ
前回はハステロイの「元祖」、Bシリーズについてご説明しました。ここでも触れましたが、Bシリーズには泣き所があります。それはクロムを含有していないため、酸化性因子に著しく弱いことです。
還元性因子が主因の孔食や隙間腐食といった腐食は発生箇所や腐食進行の予測がつきづらく、これを解決してくれるBシリーズは大変重宝なのですが、運転の都合上酸化性因子が混入することはままあるため、これにも抵抗性がないと安定した操業が担保できない恐れがあります。
例えば、設備の上流が炭素鋼や銅製の配管である場合に一定以上の鉄や銅イオンが流入したり、内容液攪拌の目的で挿入管などから空気を送り込みバブリングしたりすることで耐食性が急低下し、条件によっては一般的なステンレス鋼よりも早く寿命を迎えることすらありえます。
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Cシリーズの開発と進化
そこで、ハステロイBの成分の特徴であるモリブデンのほぼ半量をクロムに置換し、ニッケルークロムーモリブデンの三相合金としたハステロイCが開発されました。
ハステロイCシリーズ
<当サイト「耐食鋼・耐熱鋼 相当品一覧表」より抜粋>
その後ハステロイCは、B−2と同様に低炭素・低シリコンとしたC−276にその座を譲りました。C−276は、熱的安定性を改良したC−4と共にCシリーズを構成し、特に排煙脱硫装置のライニング用材料として全世界においてロングセラーを誇りました。
しかし、C−276よりもさらに耐酸化性を上げるニーズが出てきたため、ハステロイの特徴である耐還元性をあまり損なわない範囲でモリブデンとタングステンを減量しクロムを増量したC−22が生まれました。
オールマイティーなCシリーズ
Cシリーズは、JIS規格においてC−276、C−4、C―22とハステロイの中でもっとも多く規定されており、広範な腐食環境に耐え、Bシリーズより安価で加工性が良いなど汎用性が高いため、国内外の多くのメーカーに製造されています。
こうした特徴から、Bシリーズは当たるとでかいホームランバッター、Cシリーズは全方向に打ち分けるアベレージヒッターに例えることができるでしょう。