クラッド鋼製缶のカンドコロ
ニッケル合金のクラッド鋼板についてでは、使用条件によってはソリッドよりも経済的なクラッド方案についてご説明しました。本稿では、クラッド鋼のメリットが充分活かせるような設計・施工の留意点についていくつかご紹介したいと思います。
合わせ材を強度材に含めるか?
まずは、部材の強度にクラッド鋼の合わせ材を含めるか含めないかを決めます。クラッド材を強度に含める場合は、溶接部の機械試験など、クラッド鋼特有の仕様を満たす必要があるので注意が必要です。
溶接施工法は確立したか?
次にクラッド鋼の溶接施工法を確立する必要があります。2種類の材料が溶け合うため、耐食性を要求される接液面に耐食性の低い材料成分が希釈して表出しないような施工法を慎重に定めることが重要です。
トータルコスト・納期で評価したか?
クラッド鋼の価格にはクラッド加工費が含まれるため、母材・クラッド材の材料費だけで経済性を判断するのは困難です。また、クラッド加工メーカーは限られており納期がかかるため、手配時より十分な調整が必要です。
各プレイヤーの連携は充分か?
クラッド鋼鏡板を手配する場合は、合わせ材メーカー〜クラッド加工メーカー〜鏡板メーカーそれぞれの仕様と工期を事前に十分に詰めておくことに加え、相互に情報共有できるようにすることが大切です。
どの部位に適用するか?
代表的な適用例としては下記が挙げられます。
1)大口径の胴板
2)ジャケットが取り付く内胴
3)多管式熱交換器の管板
*但し、設計条件や機器形状によってはソリッドの方が経済的になる場合があります。
どのような検査仕様か?
溶接部に放射線透過検査が要求される場合は、透過度計の選択や撮影の要領などを検査業者とよく打ち合わせておくのが良いでしょう。