特殊鋼と一般鋼の異材溶接部は、溶接設計や施工手順を事前によく検討する

Before

溶接構造の機器で、接液面など必要な部位のみ耐食鋼や耐熱鋼などの特殊鋼とする場合、どこかに相互を直接接合する溶接部ができることになります。
これを「異材溶接部」と呼びますが、溶接金属に双方の材質の成分が入り混じるため、耐食性の劣化などの問題を起こす恐れがあります。
上図にこうした異材溶接部の事例を掲げます。

コストダウン事例

After

異材溶接の代表例としては、上図のようなニッケル合金製タンクの胴体と炭素鋼製のジャケットの取り付けがあります。
この部位の施工上の留意点としては下記の3つが挙げられます。

A.溶接条件を工夫し、溶接入熱量を抑えて溶け込みが深くなりすぎないようにする。
B.胴板を厚くし、ある程度溶け込んでも残りの部分(耐食層)の厚さを確保できるようにする。
C.両者の成分が直接混ざらないよう中庸の材質(ステンレス鋼など)の当て板をする。

いずれの方法とするかは、胴板の設計厚さ、適用する溶接施工法、耐食性能の要求度合いなどによって判断します。

POINT

 耐食鋼や耐熱鋼などの特殊鋼の使用量が必要最小限となるように設計するには、異材溶接部の処置をどうするか、も考慮する必要があります。

 なお、モネル400と鋼材の溶接については下記を参照してください。
モネル400と炭素鋼・ステンレス鋼を直接溶接で接合する

耐食鋼・耐熱鋼加工.comでは、このような部分に対しても十分な継手設計上の配慮を行って、使用後に想定外のトラブルを起こさないようにしています。ハステロイなどの特殊鋼の溶接でお困りならぜひ一度当社までご相談ください。